2021年3月作成
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大腸は どこにある?
▼大腸は、私たちのおなかの中にある 長い管です。
おへその まわりを ぐるりと まわっています。
私たちが食べたものは、ここで便 (うんち)になります。
▼大腸にできる がんを、大腸がん といいます。
大腸がんって どんな病気?
▼大腸がんになっても、はじめは 気がつきにくいです。
大腸がんが まだ小さいときは、どこかが 痛くなったり、体調が 悪くなることは あまり ありません。
でも、大腸がんが 大きくなってくると、便に血がついたり、おしりから血が出たり、下痢と便秘をくり返すようになったりします。
▼日本では 1年間に およそ16万人が 大腸がんになります。
大腸がんに なりやすくなるのは だいたい 30歳くらいからです。
年をとるほど 大腸がんに なりやすくなります。
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腹痛・下痢・便秘
便に血がまじる
ふらつく
こうした症状がでたり、体調が いつもと違うな と感じたりしたら、支援者や 家族に 相談しましょう。
自分一人で なやむのは よくありません。
大腸がんの治療は?
▼大腸がんは、早めに見つかれば 手術をして なおすことが できます。
がんが進んでしまうと おなかが 痛くなったり、ごはんが 食べられなくなったりしますが、薬を使って治療することが できます。
▼大腸がんを 治療して 元気に 過ごしている人は たくさんいます。
治療をするためには どうしたらいいか 一緒に考えましょう。
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1 診察・相談
2 検査
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3 治療・手術
4 治療後の生活
▼大腸がんになったかもしれないときは、まず検査をします。
そして、もし 大腸がんが見つかったら、治療をします。
大腸がんになったら、どんな検査や治療をするのか、少し見てみましょう。
ただし、検査や治療の方法は、その人の健康状態などで 変わります。
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検査の前にすること
▼大腸がんがあるかもしれない時は、検査をします。
がんが あるのかどうか、どこにあるのか、どのくらいの大きさかを 調べます。
▼大腸がんの検査には、小さなカメラがついた細い管を 入れたり、レントゲン写真を撮ったりして 大腸の中を 調べるものが多いです。
▼検査をする前には、正しく検査が できるように、下剤という薬を 飲みます。下剤とは、便(うんち)を出して 大腸の中を 空っぽにする薬のことです。
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注腸造影検査
大腸に空気を入れて ふくらませ、レントゲン写真を撮る 検査です。
写真が見えやすくなるように、バリウムという薬も いっしょに入れます。
内視鏡検査
内視鏡は、小さなカメラがついた細い管です。
内視鏡を おしりの穴から入れて、カメラで 大腸の中を調べます。
MRI検査・CT検査
MRI検査は、強い磁石を使って 体の中を画像にして 調べます。
CT検査は、放射線で 体の中を画像にして 調べます。
どちらも、体の ほかの部分に がんが 広がっていないか 調べる 検査です。
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大腸がんが どれくらい 進んでいる?
大腸は いくつかの層になっています。
大腸の内側に がんが どのくらい広がっているかによって、治療の方法が 変わります。
大腸がんの進み具合
▼大腸がんは、どれくらい進んでいるか(ひどくなっているか)によって 0期、Ⅰ期、Ⅱ期、Ⅲ期、Ⅳ期というように分かれます。
0期が いちばん軽いです。
大腸の表面だけに がんがある状態です。
▼Ⅰ期やⅡ期では、がんが 大腸の深いところまで 広がっています。
Ⅲ期やⅣ期では、がんが 大腸以外の部分にも 広がっています。
がんが 大腸の外にも広がった状態です。
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大腸がんが見つかったら
▼大腸がんの治療には、手術をして大腸がんを切り取る方法と、薬を使う方法があります。
また、大腸がんに関係する症状をやわらげるために「放射線」というものを体に当てる治療もあります。
大腸がんを切り取る治療
▼大腸がんを切り取る治療には、2つの方法があります。
・内視鏡を使う方法
・手術をする方法
どちらの方法にするかは、大腸がんが どのくらい進んでいるかや、どの部分にできているかで 変わります。
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▼内視鏡は、小さなカメラがついた管です。これを おしりの穴から大腸に入れます。
▼内視鏡には 小さなナイフや金属のひもを通す穴が あいています。
この穴からナイフやひもを通して 大腸がんを 切り取ります。
大腸がんが まだ小さくて、大腸の表面だけにあるときは 内視鏡治療で がんを切り取ることが 多いです。
▼痛くて苦しいというイメージが あるかもしれませんが、麻酔を 使うので 心配いりません。
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▼内視鏡で がんを切り取ることができない場合、手術をすることがあります。
おなかを切ったり、おなかに小さいハサミを入れる穴を開けて、がんができた部分を 切り取ります。
▼手術のときは 麻酔をするので、痛くはありません。
▼手術の前や後には、入院することがあります。
入院しているときにも、好きなテレビを見たり、本を読んだりできます。
▼入院中は、決められたものを食べます。
手術が終わった後は、できるだけ歩くようにして、もとの生活に戻れるようにします。
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▼がんは一度切り取っても、また できてしまうことがあります。
手術のあとは 数か月の間、薬を使って、がんが もう一度できにくくすることもあります。
薬には、飲み薬と 点滴で 入れる薬が あります。
体調や 大腸がんの 状態によって 使う薬が 違います。
▼がんが大きくなったときも 薬を使って がんを小さくして、手術で切り取れる大きさにしたり、がんのせいで 起こっている症状を やわらげたりします。
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▼大腸がんに関係する症状をやわらげるために「放射線」を使う治療があります。
放射線は、目に見えない光の流れです。
これを 当てて、がんを 小さくしたり、つらさを やわらげたりします。
がんが体のほかの場所に広がらないようにするために 行うこともあります。
つらさをやわらげる治療
▼大腸がんになると、体が痛くなることがありますし、心も つらくなります。
そのような 体や心のつらさを 少しでも やわらげるための治療を「緩和ケア」といいます。
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▼内視鏡や手術で がんを切り取ることができれば、ひとまず安心です。
ただし、小さながんが残っていて、そこで 大きくなることがあります。
これを 再発といいます。
▼また、がんの細胞が ほかの場所に移って、そこで 大きくなることもあります。
これを 転移といいます。
▼転移や再発が起きても ひどくなる前に見つかるように、治療したあとも 5年間くらいは 数か月おきに 検査をします。
ふだんは普通に生活しながら、検査の日に病院に行きます。
▼検査をして がんが見つかれば、もう一度 治療をします。
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▼治療のあと しばらくは 気をつけなければ ならないことが いくつか あります。
消化のいいものを 食べる
▼食事は、栄養があるものを ゆっくり、よくかんで 食べましょう。
ただし、わかめや のり、ごぼう、たけのこ、揚げ物、脂っこい料理などは 消化しにくいので 控えましょう。
たばこは やめる
▼たばこは やめ、お酒は 飲みすぎないようにします。
ときどき運動をする
▼散歩や ストレッチなど あまり疲れない運動を しましょう。
ただし、腹筋を使う運動は しません。
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大腸がんは、早めに見つかれば 手術をして なおすことが できます。
がんが進んでいても 薬や放射線を使って 痛みやつらさを やわらげることが できます。
不安なことや わからないことがあれば、医師や看護師、がん相談支援センターに 何でも 相談してください。
わかりやすい版 大腸がん
2021年3月発行
編集 一般社団法人スローコミュニケーション
デザイン 細山田デザイン事務所
イラスト ハラアツシ
作成母体
令和2年度厚生労働科学研究費補助金がん対策推進総合研究事業「障害のあるがん患者のニーズに基づいた情報普及と医療者向け研修プログラムの開発に関する研究」班
この冊子 は、知的障害のある人など 簡単な日本語表現を必要とする人たちに向けて つくられています。
より詳しい情報は「がん情報サービス」で ご覧いただけます。