2022年3月作成
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肺は どこにある?
▼肺は、私たちの胸の中にある空気の袋のようなものです。
右側と左側に 1つずつあります。
肺は私たちが息を吸ったり吐いたりするのに役立っています。
▼肺にできるがんを、肺がんといいます。
肺がんは どんな病気?
▼肺がんがまだ小さいときには、どこかが痛くなったり体調が悪くなることはありません。
肺がんが大きくなると、次のような症状が長く続くことがあります。
・せきが出る
・息が苦しくなる
・胸が痛い
・たんに血がまじる
こうした症状が出たり、体調が いつもと違うなと感じたりしたら、家族や支援者に相談しましょう。
自分一人で悩まないでください。
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ただし、これらの症状は肺がんではない病気でも起こることがあります。
▼日本では 1年間におよそ12万人が肺がんになります。
60歳を過ぎた人が多いですが、若い人でもなることがあります。
▼たばこを吸う人は肺がんになりやすくなります。
また、周りの人が吸うたばこの煙でも肺がんになりやすくなります。
ただし、たばこに関係なく肺がんになることもあります。
▼肺がんは、早めに見つかれば治療してなおすことができます。
がんが進んでしまうと、せきが出たり、息が苦しくなったりしますが、薬を使って治療します。
肺がんになっても治療して元気に過ごしている人はたくさんいます。
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1 診察・相談
2 検査
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3 治療
4 治療後の生活
▼肺がんかもしれないときは、まず検査をします。
そして、もし肺がんが見つかったら、治療をします。
肺がんになったら、どんな検査や治療をするのか、少し見てみましょう。
ただし、検査や治療の方法は、その人の状態などで変わります。
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どんな検査をする?
▼肺がんかもしれないときは、次のような検査をします。
がんがあるかどうかを調べたり、もしがんがあったら、どこにあるか、どのくらいの大きさかを調べます。
レントゲン検査
レントゲンをとります。すぐに終わる簡単な検査で、痛いこともありません。
CT検査・MRI検査
どちらも台の上に寝て体の中を画像にする検査です。
CT検査は、15分くらいで終わります。
MRI検査は、30分くらいかかります。MRI検査の間は、大きな音がします。
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病理検査
肺がんの可能性があれば、肺の細胞を取ってがんの種類などを調べます。
小さなカメラを肺に入れて細胞を少しだけ取ります。
この検査をしているとき、せきなどで苦しくなることがあります。
でも、検査の前に麻酔をしてなるべく楽に検査を受けられるようにします。
バイオマーカー検査
検査で取った細胞や血からどんなタイプのがんなのかなどを調べてもらいます。
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肺がんが どれくらい 進んでいる?
がんの大きさや場所などは、 イラストと違うこともあります。
肺がんの進み具合
▼肺がんは、どれくらい進んでいるか(ひどくなっているか)によってⅠ期、Ⅱ期、Ⅲ期、Ⅳ期というように分かれています。
▼Ⅰ期がいちばん軽いがんです。片方の肺の中に小さながんがある状態です。
▼Ⅱ期は、がんが大きかったり、小さくても片方の肺の外側に広がっていたりします。
▼Ⅲ期は、Ⅱ期よりもがんが大きかったり、片方の肺の外側に大きく広がっていたりします。
▼Ⅳ期は、もう片方の肺や肝臓、骨などほかの場所にもがんが広がっている状態です。
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肺がんが見つかったら
▼肺がんの治療には、手術をして肺がんを切り取る方法、「放射線」を体に当てる方法、薬を使う方法があります。また、体や心のつらさをやわらげる治療もあります。
▼どんな治療をするのがいいか、医師がていねいに説明してくれます。
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▼脇のあたりに小さな穴を空けて、胸腔鏡(内視鏡)という小さなカメラを入れます。
別に空けた穴からはさみなどを入れて肺がんがある部分を切り取ります。
手術の前には麻酔をするので、眠っている間に終わります。
▼わきの下を切って手術することもあります。
▼手術の前や後には、入院します。
入院しているときにも、好きなテレビを見たり、本を読んだりできます。
▼手術の後には、呼吸の訓練やたんを出す訓練、歩く訓練などをして、もとの生活に戻れるようにします。
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▼肺がんをなおしたり、症状を やわらげたりするために、「放射線」を使う治療があります。放射線は、目に見えない光の流れです。これを当てて、がんをなくしたり小さくしたりします。
▼放射線というと怖いイメージがあるかもしれませんが、正しく使えば治療に役立つものです。
▼放射線を当てるときは、ベッドのようなところに寝て何分間か動かないでいます。機械で体に放射線を当てます。痛みはまったくありません。
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▼肺がんをなおしたり、症状を やわらげたりするために、薬を使うこともあります。
また、ほかの治療と あわせて使ったり、がんがこれ以上大きくなるのを遅らせるためにも使います。
▼薬には、飲み薬と点滴で入れる薬があります。
体調や肺がんの状態によって使う薬が違います。
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▼肺がんになると、体が痛くなるなどつらい症状が出ることがあります。
がんになったことで心がつらくなる人もいます。
また、がんの治療によってだるくなったり、手足がしびれたり、吐き気がしたりすることもあります。
▼そのような症状を薬でやわらげたり、心のカウンセリングをすることなどを支持療法や緩和ケアといいます。
▼支持療法や緩和ケアは、がんの進み具合に関係なくおこなわれます。
体や心がつらかったら、一人で悩まないで病院のスタッフに伝えてください。
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▼治療してがんをなくすことができれば、ひとまず安心です。
ただし、小さながんが残っていて、また大きくなることがあります。
これを再発といいます。
▼また、がんの細胞がほかの場所に移って、そこで大きくなることもあります。
これを転移といいます。
▼再発や転移が起こっていないか調べるために、治療したあとも何年間かときどき検査をします。
ふだんは普通に生活しながら、検査の日に病院に行きます。
▼がんが再発や転移をしていたら、治療のしかたを医師と相談します。
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▼治療のあとは、前と同じような生活で大丈夫です。
食べものも前と同じように食べていいです。
たばこは やめる
▼今までたばこを吸っていた人は、たばこをやめましょう。
たばこを吸うと、また肺がうまくはたらかなくなったりします。
肺がんは、早めに見つかれば治療をしてなおすことが できます。
がんが進んでいても薬や放射線を使って痛みや つらさをやわらげることが できます。
不安なことやわからないことがあれば、病院のスタッフや、がん相談支援センターに何でも 相談してください。
わかりやすい版 肺がん
2022年3月発行
編集 一般社団法人スローコミュニケーション
デザイン 細山田デザイン事務所
イラスト ハラアツシ
作成母体
令和3年度厚生労働科学研究費補助金
がん対策推進総合研究事業
「障害のあるがん患者のニーズに基づいた情報普及と医療者向け研修プログラムの開発に関する研究」班
この冊子は、知的障害のある人など簡単な日本語表現を必要とする人たちに向けてつくられています。
より詳しい情報は「がん情報サービス」でご覧いただけます。